エコ活動紹介(一般向け)

ラムサール条約湿地「東よか干潟」/ 佐賀市環境政策課 自然環境係

恵みの海 有明海
ラムサール条約湿地に登録された東よか干潟

ラムサール条約とは?

1971年2月2日、イランのラムサールという都市で開催された国際会議で採択された「湿地」に関する条約のことを「ラムサール条約」といいます。正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」ですが、採択された地名にちなんで一般に「ラムサール条約」と呼ばれています。
この条約は、3つの柱から成り立っています。
① 保全・再生
水鳥の生息地としてだけでなく、私たちの生活を支える重要な生態系として、幅広く湿地の保全・再生を呼びかけています。
② ワイズユース(賢明な利用)
地域の人々の生業や生活とバランスのとれた保全を進めるために、湿地の賢明な利用(ワイズユース)を提唱しています。「賢明な利用」とは、湿地の生態系を維持しながら得られる恵みを持続的に活用することです。
③ 交流・学習
湿地の保全や賢明な利用のために、交流・能力養成、教育、参加、普及啓発を進めることを大切にしています。

↑夕暮れ時の東よか干潟

 

ラムサール条約湿地とは?

「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(=ラムサール条約)の締約国は、自国の湿地を条約で定められた国際的な基準に従って指定し、条約事務局が管理する「国際的に重要な湿地に係る登録簿」に掲載します。これがラムサール条約湿地と呼ばれる所以です。
東よか干潟は、平成27年5月28日、特に渡り鳥の生息地としての重要性が認められ、国際的に重要な湿地としてラムサール条約湿地に登録されました。この日を境に世界の人が東よか干潟の名を知ることになりました。

↑干潟に集まってきた野鳥の群れ

 

国内一のシギ・チドリ類の渡来地 東よか干潟

環境省による国内139カ所のモニタリング調査で、東よか干潟は渡り鳥であるシギ・チドリ類の渡来数が圧倒的に多く、日本一であることが確認されています。また、四季を通じて100種類以上の野鳥を観察することができ、絶滅が危惧されているクロツラヘラサギやスグロカモメ、ツクシガモなども渡来してきます。長い距離を旅する渡り鳥たちが、羽を休めて英気を養うための大切な場所が、ここ東よか干潟なのです。

↑干潟を赤く染める晩秋のシチメンソウは海の紅葉とも呼ばれている

 

シチメンソウの群生も日本一!

東よか干潟は、希少なシチメンソウの群生地としても日本一を誇っています。絶滅が危惧されている塩生植物のシチメンソウが干潟を赤く染めるのです。見ごろになると、海岸線に沿って赤いじゅうたんを敷いたような景色が広がり、一目カメラに収めようとベストなタイミングを待ちながらカメラを構える人も多く訪れます。

野鳥を撮影したいなら、干満時間を細かくCHECK!

せっかく東よか干潟に訪ねるのなら、野鳥がたくさんいる時に行ってみたいと思いませんか? 鳥たちに会うには、タイミングを見計らうことが重要です。鳥は干潟に集まってくるので、干潮で沖の方まで干潟が広がっていると、鳥たちも広い干潟に点在するため、双眼鏡で観察しないと肉眼で見るのは厳しいかもしれません。
ところが、潮が満ちてくると干潟の面積がだんだんと小さくなってくるので、鳥たちが干潟に寄ってきます。すると、狭くなった干潟に何千羽もの鳥がひしめき合う光景に出会うことができます。このタイミングは、潮位5mを超える満潮時間の前後1~2時間という短い時間。それでも鳥たちが一斉に飛び立つ様を自分の目で見たときの感動は、写真や映像とは比較できないほどの臨場感があるでしょう。

東よか干潟を後世まで守っていくために

↑干潟から顔をのぞかせたムツゴロウ

 

有明海には、日本の干潟総面積の約40%に相当する干潟が存在し、東よか干潟は、単一の干潟としては、国内有数の規模を誇る有明海の干潟の一部です。最大約6mの干満差は国内最大で、干潟にはムツゴロウやワラスボ、シオマネキなど有明海の泥干潟特有の生物が多く生息しています。
野鳥、干潟の珍しい生き物、シチメンソウ、海苔の養殖…。東よか干潟を取り巻く環境は、生き物だけなく人々とも密接に関係しています。長い歴史を通して干潟と共生してきた私たちは、次世代の人々へ向けて、美しい干潟を残していく使命も背負っています。
ラムサール条約湿地として、世界に認められた東よか干潟を保全し、干潟の恩恵を持続的に享受するとともに、子ども達の環境学習の場として利用を進めるなど、東よか干潟を守っていく意識を持てたらいいですね。


 

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